お客様が日本でビジネスを開始された後も、会社を経営するにあたって必ず必要となる煩雑な行政への諸手続きや、会計、税務、労務等のバックオフィス業務を、提携する司法書士、税理士、社会保険労務士とともに私達がサポートいたします。以下では、一例として、会社設立後の主なサポートをご紹介します。
法人口座の開設
近年、日本の金融機関はマネー・ロンダリング対策やテロ資金供与対策を強化しており、新規設立の会社が法人口座を開設する際の審査が非常に厳しくなっています。この対応は外国人に対してだけでなく日本人に対しても同様です。
そのうえで、外国の方が注意しなくはいけないことは、会社の代表者(株式会社における代表取締役、合同会社における代表社員)の中に日本に居住する方(日本人もしくは中長期在留者)がいない場合、法人口座の開設は実際上困難であるということです。
このような場合、解決策として、日本に居住する方(国籍は問いません)に会社の代表者の一人として就任してもらい、その方に日本での法人口座の開設手続きを任せることで金融機関からの門前払いを避けることができます。
法人口座開設の可否は、金融機関に提出する書類をしっかりと準備し、実態のある会社であることを疎明できるかどうかにかかっています。提出書類は口座を開設する金融機関によって異なりますが、提出が求められる主な書類は以下のとおりです。
- 法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 法人の印鑑証明書
- 定款
- 代表者の公的な本人確認資料
- 本店の建物登記簿謄本または賃貸借契約書
- 許認可、届出が必要な業種の場合は許認可証、届出書
- 事業内容が分かる資料
この中でも事業内容が分かる資料が一番重要で、どのような事業を行うのかを金融機関の担当者に明確に示す必要があります。具体的には、事業内容が分かる資料として、会社説明資料を作成し、必要に応じて契約書、受注書、請求書、決算書、確定申告書、会社ホームページのコピー等も準備します。私達はお客様の代わりに会社説明資料を作成し、提出書類の取得・作成・提出等をサポートいたします。
登記完了後の届出書類の提出
以下の表は、会社設立の登記完了後に官公署へ提出する税金関係、社会保険関係、労働保険関係の届出書類一覧です(株式会社も合同会社も届出書類は同じです)。私達は、提携する税理士、社会保険労務士とともに、届出書類及び添付書類の取得・作成・提出等をサポートいたします。
提出先 | 提出書類 | 添付書類 |
---|---|---|
税務署 | ・法人設立届出書 | ・定款等の写し |
源泉所得税関係の届出書 ・給与支払事務所等の開設届出書 ・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | なし | |
消費税関係の届出書 ・消費税課税事業者選択届出書 ・消費税申告期限延長届出書, etc. | なし | |
・青色申告の承認申請書 | なし | |
・棚卸資産の評価方法の届出書 | なし | |
・減価償却資産の償却方法の届出書 | なし | |
・有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書 | なし | |
・定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書 | ・定款等の写し | |
・事前確定届出給与に関する届出書 | なし | |
・個人事業の開業・廃業等届出書 ※個人事業主の法人成りの場合 | なし | |
・所得税の青色申告の取りやめ届出書 ※個人事業主(青色申告者)の法人成りの場合 | なし | |
都道府県税務署 | ・法人設立届出書 | ・定款等の写し ・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書) |
市区町村役所 | ・法人設立届出書 ※東京都の場合は、特別区への提出は不要 | ・定款等の写し ・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書) |
年金事務所 | ・健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | ・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書) |
・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | なし | |
・健康保険被扶養者(異動)届 | ・続柄確認のための書類 ・収入要件確認のための書類 | |
・国民年金第3号被保険者関係届 | ・続柄確認のための書類 ・収入要件確認のための書類 | |
労働基準監督署 | ・適用事業報告書 | なし |
・労働保険 保険関係成立届 | ・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書) | |
・労働保険 概算保険料申告書 | なし | |
・就業規則届 ※常時10人以上の労働者(事業場単位)を使用する場合 | ・就業規則 ・就業規則意見書 | |
・時間外・休日労働に関する協定届(36協定届) ※時間外・休日労働させる場合 | なし | |
公共職業安定所 | ・雇用保険 適用事業所設置届 | ・労働保険 保険関係成立届の事業主控(労働基準監督署受理済みのもの) ・事業所の実在、事業の種類等を証明することができる書類(以下のいずれか) ①登記事項証明書、②事業許可証、③工事契約書、④不動産契約書、⑤源泉徴収簿、⑥他の社会保険の適用関係書類 |
・雇用保険 被保険者資格取得届 | 労働者の雇用実態、賃金の支払いの状況等を証明することができる次の書類 ・労働者名簿 ・賃金台帳(雇入れから現在まで) ・出勤簿又はタイムカード(雇入れから現在まで) ・雇用契約書(有期契約労働者の場合) |
資金調達
会社設立後まもない時期は売上が安定せず、資金繰りが厳しくなることも多いかと思います。資金繰りに余裕を持たせるため、資金調達の手段として経営者の方がまず思い浮かべるのは銀行融資だと思いますが、国や自治体が行っている起業支援を目的とした補助金や助成金の制度を利用するという方法もあります。
補助金や助成金は、既に支払った経費が対象となるため前払いではなく、実際に振り込まれるまでに相当の時間がかかるというデメリットがあります。一方、補助金や助成金には返済義務がないというのが銀行融資とは大きく異なる点です。
起業支援を目的とした補助金や助成金の要件で、外国人を対象から除外しているものはほとんどありません。要件を満たす場合は積極的に活用すべきでしょう。情報の少なさや申請の煩雑さが原因で外国人経営者の方がこの制度を利用することは少ないですが、私達はお客様に補助金や助成金に関する最新の情報提供を行い、申請のサポートをさせていただきます。
外国人経営者の方が創業融資を検討している場合は、新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした、低金利・無担保・無保証で融資を受けられる日本政策金融公庫(国金)の新創業融資制度をお勧めします。
この制度では、外国人経営者の方も日本人と同様の条件で融資を受けることができます。ただし、日本で事業の経営を行うためのビザ(在留資格)を有していることが大前提です。
日本で事業の経営を行うためのビザとは、「経営・管理ビザ」「高度専門職1号(ハ)ビザ」、「高度専門職2号ビザ」「永住者ビザ」「日本人の配偶者等ビザ」「永住者の配偶者等ビザ」「定住者ビザ」のことを指します。在留期限のない「永住者ビザ」「高度専門職2号ビザ」を有する場合は、審査においてプラスに働きます。
新創業融資制度の審査を受けるには、事業計画書、資金繰り表、返済予定表等、様々な書類を作成し、提出しなくてはいけません。私達はお客様の代わりに事業計画書をはじめとした書類を作成し、提出書類の取得・作成・提出、及び融資担当者との面談への同行等のサポートをいたします。